今回は、失火責任法(失火法)について調べてみました。
正式には、「失火ノ責任ニ関スル法律」といい、明治32年に定められた法律です。
この法律では、「失火(過失による火災)の場合は、損害賠償はしなくて良い。
ただし重大な過失の場合を除く」といった内容が定められています。
例えば、自宅の火災で隣家に火が燃え移ってしまったとしても、
「重大な過失」が無ければ隣家への賠償はしなくていいということになります。
※重大な過失:ほとんど故意に近い著しい注意欠如の状態
(最三小判昭和32・7・9 民集第11巻7号1203頁)
てんぷら油を入れた鍋をガスコンロで加熱したまま長時間その場を離れて火災に
至った事例や、寝たばこの危険性を認識しながらそれを続けて火災に至った事例
などで重大な過失が認定されているようです。
■賃貸物件の場合はどうか?■
借主の過失により火事を起こしてしまった場合・・・
⇒大家さんに賠償しなければなりません。
賃貸アパートやマンション等に入居している場合は事情が異なります。
失火によって損害を発生させてしまった場合、近隣の方に対しては
失火責任法が適用され、重大な過失がなければ損害賠償責任は負い
ませんが、大家さんに対しては重大な過失が無くても損害賠償責任を
負うことになります。これは、入居者は大家さんとの間で締結された
賃貸借契約によって、借りた建物(部屋)を返すときに元通りに回復
して返還する義務を負っています(原状回復義務)。この債務が履行
されなかった場合には債務不履行に基づく損害賠償責任を負うことに
なります。そしてこの債務不履行に基づく損害賠償責任は失火責任法の
適用を受けないため、借主は重大な過失がなくても大家さんに対して
損害賠償責任を負うことになるとのことです。
今回は、失火法について調べてみましたが、失火責任法が適用されれば、
隣家からの賠償は望めません。対策としては、「火災保険に加入する」
の一択だと思います。自費で修繕を行わなければならない事態となった
際、火災保険に加入していれば安心です。一度加入されている保険内容
の見直し等もオススメいたします。