こんにちは。賃貸営業中村です。本日は、オススメの本のお話を。
このブログでも何度か書いていますが、僕は学生時代、演劇をやってました。大学の演劇部に入って、初めて参加した公演が鴻上尚史さんが書いた「天使は瞳を閉じて」という作品でした。
それまで小学校の学芸会の出し物や中高の文化祭での演劇部公演でしかお芝居というものを知らなかった僕にとって、驚きの連続でした。
スピード感あふれるセリフ展開。突然挟み込まれるダンスと群唱。
それまで見てきたお芝居とは全く違っていました。たちまち夢中になって、決して安くはない鴻上さんの戯曲集を片っ端から買い集めて貪り読みました。
そんな鴻上さんが昨年上梓したのが「不死身の特攻兵」です。
戯曲ではありません。「特攻」について書かれた、ドキュメンタリーです。
「特攻」と言えば、皆さんご存知だと思います。太平洋戦争の末期、爆弾を満載した戦闘機で敵の艦船に体当たりする、いわば「自爆攻撃」です。
「上官の命令は絶対」であるはずの旧日本軍で、特攻を命ぜられたにもかかわらず、9回出撃して、9回とも生還した陸軍兵がいた、という驚きの事実がこの本には書かれています。
その元陸軍兵・佐々木友次さんは、特攻の命令に背いて敵艦に爆弾を命中させ、基地に帰還した際、上官からの激しい叱責に遭いました。
「臆病者め!次は必ず死んでこい!」
佐々木さんはこう答えたと云います。
「死ななくてもいいと思います。死ぬまで何度でも行って、爆弾を命中させます」
ただでさえ戦力が低下しているのに、熟練したパイロットをむざむざ死なせる必要はない。そんなあたり前のことさえ、当時の上層部は見失っていたのです。
後半は、鴻上さんの考察によるリーダー論になります。当時の陸軍の最高責任者で首相でもあった東条英機は、敵機を撃ち落とす具体的な方法を述べた飛行学校の学生に対し、こう答えたそうです。
「精神で撃ち落とすんだ」
リーダーがこう考えるのは非常に危険だ、と鴻上さんは言います。この考え方がまかり通ると、
「撃ち落とせないのは、作戦がマズイわけでも、兵器の性能が悪いわけでもない。 キサマの精神がたるんでいるせいだ」
と言えてしまうのです。うまくいかない理由を分析する訳でもなく、ただただ
「頑張りが足りないからだ」
と切り捨てるのは、リーダーの責任放棄です。
このような責任放棄は、現代の政界でも一般社会でも横行しているように思います。あなたの周りにも、そんなリーダー、いませんか?
というわけで皆さんも「不死身の特攻兵」を読んでみたらいいのに。