こんにちは、賃貸営業の中村です。今日は、最近読了した本の話を。太平洋戦争の後、敗戦国日本の戦争責任者を裁く「東京裁判」が行われました。その裁判で絞首刑を宣告されたA級戦犯は7人。その中でただ一人文官だったのが、首相や外相を歴任した広田弘毅でした。
軍部の暴走に翻弄されながらも、懸命に戦争防止に努め続けた広田。不可解とも思える死刑宣告を、一切弁解することなく受け入れて散った彼の生涯を描いたのがこの、
「落日燃ゆ」(城山三郎著/新潮文庫)
です。
背景として描かれる、昭和初期の国際情勢が興味深いです。
日本と世界の力関係はどのようなものだったのか?日本はどのようにして戦争にのめり込んでいったのか?なぜそれを誰も止められなかったのか?
日本の安全保障体制が大きく転換しようとしている今だからこそ、読んでおくべき本だと思います。「自ら計らわぬ」ことを信条とし、家族を愛した広田弘毅の姿ももちろん魅力的で、その実直な生き様、反骨精神は胸を打ちます。
風車、風が吹くまで昼寝かな
これは外務省時代の広田が出世街道から外され、公使としてオランダに左遷された際に詠んだ狂句です。閑職に腐ることなく、自らを磨くことに努めて風が吹くのを待つ広田。次第に強くなる国際情勢の風は、その風車にも容赦なく吹きつけて彼の運命を激しく変えていくのでした。
「落日燃ゆ」
皆さんも、読んでみたらいいのに。