こんにちは。 元カワラコジキー中村です。 以前の「おのれ、測ったな!」でも言及しておりますとおり、僕はつい数年前まで舞台俳優としての顔を持っておりました。 遡れば大学時代。一回生の頃から演劇にハマり、ろくに授業にも出ない日々を過ごしました。三回生の秋公演を終えると、形としては「引退」。それまで芝居の稽古に費やしていた時間をどう使っていいのか分からなかった僕は、途方に暮れてしまいました。「まじめに授業に出て、勉強すればよかったんじゃないの?」というツッコミは敢えて無視します。 ふと見回すと、同じように時間をもてあましている男が四人。 僕も含めた五人で集まって、お酒を飲む機会が増えました。 飲みながら、戯曲の本を開いては、読み合わせをしてみたりして。 当時の我が演劇部はオリジナル脚本を書ける人材もおらず、もっぱら人気劇団に上演許可を取って、既成の作品を上演していました。アマチュアバンドが有名バンドの曲をコピーするようなものです。中でもよくコピーしていたのは、人気絶頂だった「第三舞台」の作品でした。NHKの「COOL JAPAN」の司会などで知られる鴻上尚史さんが作・演出を務める劇団です。 その代表作「朝日のような夕日をつれて」の登場人物は、五人。 我々も、五人。 読み合わせの主なテキストは自然とこの作品になりました。 そうやってしつこく読み合わせを繰り返していく中、 「読んでるだけじゃつまらないね」 という話になり、夜の大学構内の空き地などで立ち稽古を始めてしまいました。 そんな日々が半年ほど続きました。通常の公演稽古は長くても3か月ですから、その倍の時間を費やしていたことになります。となるともういけません。いい加減、完成度が上がってきて、 「上演しないともったいないな…」 一日だけ劇場を押さえて、上演することになってしまいました。
公演は、在学中上演した中でも一番の出来となりました。 たった一日。2ステージのみ。 それだけで終わるのがもったいないくらいでしたが、たった2ステージだけだからこそ、力を出し切れたのかもしれません。 その後、メンバーはそれぞれの道に進み、第三舞台も解散してしまいました。あれからもう21年も経っているのです。いろんなことが変わってしまって当然です。 今、鴻上尚史さんは自らのプロデュースで「朝日のような夕日をつれて」を上演しています。 昨夜、僕も観てきました。21年前の僕たちの芝居と重ね合わせながら。
我々はけっこう忠実にコピーできてたんだな」とか、このシーンは俺たちの方が面白かったんじゃないか、とか、おこがましいことを考えながら、最後は妙にすっきりした気持ちになっていました。 43にもなってこっ恥ずかしい言い方ですけど、ようやく僕の青春にひと区切りついたような。 そんな気がしています。 公演ポスターです。
けっこう良い席でした。
終演後のロピーです。感慨深く後にしました。
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