次の瞬間、それは車のヘッドライトだと気付きました。
一瞬の、焦りと安堵から解放された私は、少しの恥ずかしさから、
軽く笑い、デスクを立とうと振り返りました。
-ハッ!!!!!-
一瞬息が止まり、全身の毛穴が開き、悪寒が走りました。
なぜなら、そこには見たことも無い小さめのハサミを持ったM先輩が、
私を見下ろしていたのです。
「エチケット・・・この言葉の意味を知っているかい?」
「え?・・・どうしたんですか?」
「その眉には、エチケットが無いんだよ」
「ま・・・ま・・マユ」
私は、基本的に自意識の塊です。世界は私のために周っていると思っています。
だからこそ、自分の眉の毛を整えたとしたらば、きっと世間は、
「あいつ、あんな顔面してるのに、眉整えてるよ」と、笑うんではないか。
そう思うと、一切いじることが出来ないのです。
昔、吉田ヒロが「ごっつえぇ感じ」に出ていた時は、すこぶる好きでしたが、
「マユゲぼーん」というギャグをやった途端、大嫌いになり、
「ごっつえぇ感じ」からも消えた時は、せいせいした程、昔から眉毛には敏の感なのです。
しかし、目の前のM先輩は、僕の眉の毛をエチケット違反だというではないですか。
軽犯罪とでもいう感じです。
その見たことの無い小さめのハサミで、私の眉を刈ってやろうとするM先輩から、
逃げに逃げまくりましたが、
ぐうの音も出ない正論を言われ、どれだけエチケット違反かを諭された私は・・・・・
・・・結果、初めてメスを入れることにしたのです。
そして、
から、
へ。
一気に、美の化身アフロディーテになってしまいました。
この変化は、お店で是非、
タ・シ・カ・メ・テ・ネ。